幼児教育の注意点
幼児教育は現在さかんに行われていますが、それを行う上でもちろん注意することがいくつかあります。その一つは、子どもの負担にならないように行うこと。今我慢すれば将来的に楽になるのだから、という考え方で幼児に勉強などを押し付ける親もいますが、それはあくまで親の観点です。そんな保証はどこにもありませんし、親が良いと思っている将来が、子どもにとって本当に良いかはわかりません。また、子どもが負担に感じるということは、親子関係にも問題がある場合があります。たとえば、勉強であってもママと遊び感覚で行えば、子どもは楽しいものですし、成果も十分に期待できます。幼児教育をスキンシップの一つの手段と考えながら、親子一緒に取り組めるのが理想的ですね。
また、小さいうちの習い事などは、子どもに選択権がない場合がほとんどです。女の子はピアノやバレエ、男の子はサッカーや水泳などを習わせる家庭が多いのですが、小さいうちから始めている家庭ほど親の意見で始めた習い事がほとんどではないでしょうか。もちろん小さいうちから始めないと上達の見込めないものもありますし、世襲などの関係で習わせることが必要とされる家庭もあるでしょうが、親がなんとなく始めさせた習い事で子供が上達しないからと言って子どもを責めたり一喜一憂したりするのはちょっと違うように思います。
最後に、幼児教育を過信するのは禁物です。もちろん3~4歳までの幼児期というのは吸収力が高く、伸びる時期ですが、それでも長い一生のうちのほんの数年です。この時期に培ったことが一生のベースになるという可能性はありますが、何の教育を受けずにこの時期に野山を駆け回っていた子どもが大成することももちろんあるように、それがすべてではないのです。ベースがあったとしても、大切なのはそこに何を乗せるかです。幼児のうちから英語をみっちり習わせることで、ネイティブのように話すことはできるようになるでしょう。しかし、大人になって必要とされるのは、ネイティブのような発音ではなく、ネイティブとコミュニケーションを取る力です。たとえ発音はいまいちでも、きちんと自分の意見をもってそれを伝えることができることのほうが重要なのです。英語がしゃべれればそれで大丈夫、というのではなく、年齢に応じてより深い知識を身に付けるなどの努力を続けていくことが必要だといえるでしょう。